ほとんどの物質は加熱によって膨張し、冷却時には収縮する性質を持っています。
これらの多くは温度に比例して変化することから体温計や温度調節装置(サーモスタット)などに利用されています。
体温計にはその用途に適した水銀などが使われていて線形に膨張した位置を目盛から読み取れるようになっています。
一方でサーモスタットでは少し仕組みが異なり、熱膨張率の違う二つの金属を貼り合わせて温度変化によって伸び縮みする力を曲がる力に変換して機能しています。素材の特性をこのように利用したものをbimetal(バイメタル)と言います。
#1
実際の設計業務において建材の熱膨張はクリアランスを設けて逃がしますが、Material Experimentチームではこの性質を有効にとらえ、bimetalを利用した温度変化によって可変する建材などが考えられないかと研究してみることにしました。
まずは先立って性質を見極めるために素材の組み合わせや接着の手法を変えた試験体を製作し、事務所の西南西の窓辺に設置してインターバルレコーダーで観察しました。
実験の様子(画像をクリックすると再生します)
一番下の樹脂系との組み合わせは非常に変化量が多いのですが元に戻る能力に乏しいようです。
一方で金属系の組み合わせでは変化量は小さいもののおおむね熱膨張率から割り出した数値通りの変化が得られました。
次回は実験結果を踏まえて建材としての利用法を考えたり具体的なプロダクトなどを試作しようと思っています。
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