前回(#2)の記事でも触れましたが、統計データにはGISソフトウエアにそのまま読み込めるデータとそのままでは読み込めないデータがあります。後者を地図に情報を付加するためには、国、市区町村、企業などが公開している統計データを基に情報を整理し、GISソフトウエアで読み込める形式にする必要があります。加えて、統計データは膨大にあり地図に情報を付加可能なデータを選択しなければなりません。地図に情報をプロットする際のデータの整理の仕方と統計データの選択が重要です。
GISソフトウエア上では、地図を構成している、点、線、面の3つの要素から構成されています。これら要素に情報を付加していくことで、多角的に分析することが可能となります。
点 住所、建物名称等
線 鉄道、道路等
面 都道府県、市区町村等
情報を付加するためには、それぞれの要素に適した手法があります。
点:情報をプロットすることにより場所を特定する。(手法A)
線:道路別の交通量などの情報を付加する(手法B)
面:人口密度などの情報を付加し面毎に塗り分ける(手法C)
これら3つの手法を理解した上で、膨大な統計データから地図に情報を付加可能なデータを選択していきます。
手法A.情報をプロットする
住所や建物名称などの場所を特定できる統計データです。下記URLのような統計データの形式になります。
JRの駅別乗車人員 (平成22~26年度)
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tnenkan/2014/tn14qa040800.xls
東京都統計年鑑 平成26年
階数別4階以上及び地階を有する建築物数(平成26年末)
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tnenkan/2014/tn14qa030100.xls
このような表形式の統計データは、緯度・経度の情報を持っている点のShapファイルに情報を付加することができます。
駅データ.jp/駅データ https://www.ekidata.jp/dl/?p=1
JRの駅別乗車人員 (平成22~26年度)
手法B.線に情報を付加する
道路別の交通量、私鉄の運輸成績など統計情報を付加できます。下記URLのような統計データの形式になります。
私鉄の運輸成績 (平成22~26年度)
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tnenkan/2014/tn14qa041200.xls
道路交通センサスデータ
http://www.mlit.go.jp/road/census/h22-1
※ただし、道路情報が定義されたデータの取得が基本的には有料ベースとなるため、今回は対象外とします。
http://www.drm.jp/use/general.html/
このような表形式の統計データは、鉄道路線名などの情報を持っている線のShapファイルに情報を付加することができます。
国土数値情報ダウンロードサービス/鉄道データ
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N02-v2_2.html
私鉄の運輸成績
手法C.情報で面を塗り分ける
手法Cは前回(#2)の記事でも触れましたが、都道府県名、市区町村名などのエリアに関する統計データです。
下記URLのような統計データの形式になります。/
平成27年国勢調査 人口及び世帯数_東京都
区市町村、男女別人口及び世帯数
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/kokusei/2015/kd15sa0300.xls
区市町村別人口、増減数及び増減率の推移(平成7年~平成27年)
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/kokusei/2015/kd15sa0400.xls
区市町村別世帯、増減数及び増減率の推移(平成7年~平成27年)
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/kokusei/2015/kd15sa0500.xls
区市町村別人口密度
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/kokusei/2015/kd15sa0600.xls/
このような表形式の統計データは、都道府県名、市区町村名などの情報を持っている面のShapファイルに情報を付加することができます。/
国土数値情報ダウンロードサービス/行政区画データ/東京都
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03.html/
区市町村別世帯数(平成27年)/
統計データ(CSVファイル)を整理する
表1のような統計データはこのままではGISソフトウエアに読み込むことができないため、編集する必要があります。
表1 JRの駅別乗車人員 (平成22~26年度)
1.shapファイルへ結合するためのコードとなる情報(住所、駅名、市区町村名など)と地図上に表現した情報だけを取り出しCSVファイルを作ります。ファイル名をstationuser.csvとします。
2.csvtファイルを作ります。テキストエディタを開き、1で作成したCSVファイルの列に、文字型(String)、整数型(Integer)、小数点型(real)を割り当てます。今回は"String","String","Integer","Integer","Integer"と入力し、CSVTファイルを作成します。
ファイル名を1と同一とし、拡張子を.csvtとします。(ファイル名はstationuser.csvt)
1と2で作成したファイルは同じ階層に保存します。
QGISにCSVファイルをインポートし、shapファイルと結合します。
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